ナレッジを資産に変えるCAMの「自動化」と製造業の未来

Autodesk Fusion
CAD/CAM
ナレッジを資産に変えるCAMの「自動化」と製造業の未来
今から始める3D CAD/CAM 金属加工業向けFusion入門

Autodesk Fusionと有名CAD/CAM比較資料

安かろう悪かろうは本当か比較してみた

Autodesk Fusionと有名CAD/CAMを、価格、機能、拡張性などの観点から比較。さらに製造現場の効率化についても触れながらFusionの真価を検証します。

連載 「次世代CAMがもたらす製造業の革新」

Industry 4.0の潮流の中でCAMの役割が根本から変わろうとする今、連載「次世代CAMがもたらす製造業の革新」では全4回を通して今後の日本のものづくりにとって重要となる4つのトレンド「完全統合」「自動化」「IoT」「製造プロセス管理」について紹介します。
ITを活用した製造業支援のスペシャリストである応用技術の「toDIM」事業責任者の梅西 正訓と、加工現場を知り尽くしたCAMのプロであるモノミラの代表である山路 大介氏が、現場の実感とデジタル実装の両面からスマートファクトリー実現への道筋を語り尽くします。

CAM自動化が解決する「属人化」と「技能継承」

梅西CAD/CAM自動化の重要性は誰もが認めるところですが、その真のメリットを山路さんはどう定義されていますか。

山路一言で言えば「時間の短縮」と「品質の一定化」、そして「再現性の担保」です。製造現場では今、深刻な人手不足と技能継承の課題があります。特にCAM作業の属人化は非常に厄介な問題です。

梅西加工担当者だけでなく、CAMを作るエンジニアにも職人芸のような好き嫌いや癖がありますよね。

山路そうなんです。担当者が変わるとプログラム作成にかかる時間も、できあがった加工精度もバラバラになってしまう。自動化の目的は各社が長年築き上げたナレッジをルールの集合体としてシステムに落とし込むことにあります。

熟練者の「当たり前」を引っ張り出すナレッジの棚卸し

梅西ナレッジをルールとしてアウトプットする、言葉で聞くと大変そうなイメージを持つ方も多いと思いますが具体的にどういうことでしょうか。

山路どんなに複雑な製品に見えても、穴あけ、ポケット加工、面取りといった個別の工程で見れば実は共通のパターンが存在します。また自分の作業がナレッジの宝庫であるということに気づいていない熟練者も多いです。

重要なのは熟練者の頭の中にある当たり前を書き出すことです。本人は当たり前だと思ってわざわざ書類に残していない。その暗号化されたノウハウをヒアリングし、カテゴリ分けしていくナレッジの棚卸しが、自動化の第一歩になります。

梅西私たちが提供する「CAD/CAM定着化支援」でも業務フロー分析から実務に即した加工テンプレートを作成していきます。現場のチューニング結果を適切にフィードバックし常に最適条件をアップデートする仕組みが不可欠だからです。

品質の統一が企業の信頼性を強化する

梅西自動化のもう一つの側面として拠点間の品質の統一があります。ここを疎かにすると、同じ設備、システムを使っているのに各拠点での仕上がりや加工精度が異なるという問題が生じます。

山路その通りです。使用する治具、刃物、切削条件が共有されていないと結果はバラバラになります。自動化によって誰がどこでやっても同一の切削品質を実現できることは企業の信頼性に直結します。

梅西世の中には自動化を売りにしたCAMも増えていますが、メーカーが用意した標準の自動化設定だけを使っているとどの会社でも同じものしか作れず、価格競争に陥ってしまいます。だからこそ各拠点で「自社の強み」を反映した最適条件を共有し、アップデートし続けることが重要なんですよね。

CAD/CAMの自動化を実現するには?

IoTとAIの融合、そして次世代製造プロセスへ

梅西今回のモノミラ社での協業では、IoTセンサーを活用した加工データの収集やAIによる最適制御も視野に入れています。将来的にCAMはどのように進化していくと思われますか。

山路自動化のレベルが上がりサイバー空間での完全シミュレーションやAIによる自律的なツールパス生成が進んでいくでしょう。

さらにその先には、3Dプリンティング技術との組み合わせによるイノベーションも期待できます。たとえばこれまでは材料を削り落として捨てていたものを、3Dプリントで形状を作ってから最小限の加工を行うといった新しいモノづくりの形です。

梅西まさにジェネレーティブデザインと自動化が融合した新しい付加価値の創造ですね。

山路大事なのは今の自動化に満足せず、常に新しい技術をどう現場に取り込むかチャレンジし続けることです。CAMが劇的に進化している今だからこそ、まずはスモールスタートからでも「自社のナレッジを資産化する」ことに取り組んでほしい。その伴走者として応用技術とモノミラが支えていければと思っています。

梅西今回の対談では、CAD/CAMの統合と自動化がいかに現場のナレッジを資産に変え、属人化を解消するかという点について深く掘り下げてきました。

次回の第三回では、スマートファクトリー実現に欠かせないもう一つの柱「IoTセンサーの活用」についてお話を伺います。工作機械からリアルタイムでデータを収集し加工中の振動や異常を検知・可視化することで、品質向上や予知保全にどう繋げていくのか。より現場の深部へと踏み込むIoT活用の最前線を紐解いていきます。ぜひご期待ください。

山路 大介
山路 大介
株式会社モノミラ 代表
大学卒業後、CAD/CAMメーカーに就職。ポスト開発から製造業向けのコンサルティングまで様々な経験を積み、9年前に独立してモノミラを創業。CAD/CAM 技術を武器に、CAD/CAM導入支援からNCプログラム供給、試作品等のマシニング加工も行っており、現在はバリ取り加工向けのロボット開発にも着手している。

梅西 正訓
梅西 正訓
応用技術株式会社 DX事業統括 コンサルティングサービスグループ シニアマネージャー
大学卒業後、金型設計・NCデータ作成など約20年間にわたり製造現場で実務経験を積む。その後、AM(積層造形)技術の新規製品アプリケーション開発エンジニアへ転身。現在は応用技術株式会社にてコンサルティングサービスグループのシニアマネージャーを務め、長年の現場知見とデジタル技術を融合した製造DX推進を主導している。現場を深く理解したエンジニアの視点で、製造業の変革とイノベーションを支援する専門家。
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2026.08.01